仮説①

仮説①:過労が1つの要因ではないか?

 

 漢方医学の病態を診断する上で、体調や症状についてのアンケート取りました。病態に関する仮説は、後日記載させていただきますが、気になる点として「すぐに疲れる」「記憶や集中力が落ちている」「疲れやすい」「体がだるい」といった疲労に関する内容がそれぞれ49件中、40件、33件、39件、29件と半数を超える件数確認されました。

 疲労のメカニズムに関しては、近年明らかになってきており、渡辺恭良M.D., Ph.D.は(疲労の科学・脳科学と抗疲労製品の開発)の中で、疲労は、運動性疲労であれ精神作業性疲労であれ、筋肉細胞、神経細胞の過活動による生体酸化、すなわち、必要な酸素供給−呼吸に付随して過剰産生される酸素ラジカルを生体還元系の処理が間に合わず、重要なタンパクや脂質などが酸化される。それらによって、細胞そのものや重要な細胞内オルガネラや部品が傷み、その障害を感知した免疫系細胞が免疫サイトカインというシグナルを脳神経系・内分泌系などに送り、修復を試みる。この際に、修復エネルギーが十分でないと、疲労が遷延する。」と述べています。つまり、細胞のオーバーワークによって傷ついた細胞を修復するエネルギーが足りていないと疲労が長引くということです。また、妙録には疲労度に応じて、①副交感神経系の機能低下、②酸化の進行と抗酸化能の低下、③修復エネルギー産生の低下、④免疫サイトカインの亢進とサイトカインによる炎症と神経伝達機能抑制、が疲労の分子メカニズムであり、慢性疲労に至るメカニズムでもある」と述べています。ここにおける疲労の定義は「作業能率や作業効率が統計的に有意に低下した状態」と定義されています。

 ここから考えられることは、PATM症状がある方は、身体的または精神的なストレスによって、上述されたようなメカニズムが起こり、慢性的な疲労状態にあるのではないか、またその過程にPATMの原因があるのではないかということです。

 よって、過労がPATM症状に至る要因になっているのではないでしょうか。

 

 仮説②は、また後日挙げさせていただきます。